むらさき

名無しさんに、ヒットCMは作れるか。~有名と無名のあいだ~

僕が広告業界に入ったきっかけは佐藤雅彦さん。

大学時代、突然キャンパスにやってきた彼のゼミに運良く入れたことで、僕は広告にぐぐっと近付いた。

 

今から20~25年ぐらい前=昭和から平成にかわる頃。雅彦さんが手掛けた広告のキャッチフレーズやコマーシャルソングを日本中の子どもたちが口ずさんでいた。

 

その人が「広告業界って面白いですよ、色んな会社と仕事できますよ」なんて言うもんだから鵜呑みにした。"雅彦さんの七光り" もあって、僕は電通から内定をもらえた。

 

電通に入社して2カ月後、関西クリエーティブ局に配属された。そこにもまたCMの名手がいた。その名は山崎隆明さん。ギャツビーや金鳥のCMが次々と話題になり、当時すでにスターだった山崎さん。その後もヒットCMを連発。大好きな広告制作者のひとり。

 

前置きが長くなった。

 

先週、山崎さんが雅彦さんに関するツイートをしていた。

 


無名でいると「それは違う」と批判もしてくれるし、全否定もされる。その環境がなくなったらダメですよね、と佐藤さん。その通りだと思います。

 

どんな文脈で、どんな場所で発した言葉かは分からないが、広告業界で「超有名」な2人が、批判・否定される環境を求めている。まだまだ安住せず、変化しつづける2人...こりゃかなわんわ。

 

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批判や否定の対象にもならず、スルーされることが多いのが広告。また、映画やテレビ番組とちがってスタッフロールがないのが広告。

 

もちろん雑誌のブレーンやコマフォト、TCCコピー年鑑などで調べれば制作者の名前は分かる。そして「有名テレビCM」のスタッフリストにはよく見る名前が並んでいる。グラフィックやWEB業界は世代交代している印象があるが、テレビCMはここ10年ぐらいほぼ固定メンバー。なぜだ?

 

(以下、長いです) テレビCMのオンエア量が多い有名なクライアントさんは経験豊富で有名なスタッフを求める傾向がある。有名なプランナーの周りには、有名なディレクターと有名なカメラマン、照明さん、美術さんetc.がいて、それを有名なプロデューサーが仕切っている。有名なタレントのマネージャーは、有名なスタッフじゃないと安心して任せられないということもあるだろう。有名なスタッフさんにお願いするにはそれなりのお金がかかるが、そこは有名な人だから制作費も潤沢で...(以上、小鳥のさえずりでした)

 

でも、有名、巨匠と呼ばれる人にも、無名な時代が必ずあったはずで。

 

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話は飛ぶ。


熱海広告祭2014に参加してきた。壇上には「有名」な人たちが次々と。もちろん、僕ら広告屋の目的は有名になることではないが、有名人の言葉は説得力が違う。重み。深み。パワー。

 

いろいろな言葉が刺さったが、オフレコなことも多いだろうから、公式Twitterに載っているものからいくつか引用 ↓ ↓ ↓

 


福里真一さん「20代のときは自分らしいものを作ろうとしていた。ヒットを作れるようになったのは、世の中の人が何を求めているかを素直に追い求めるようになってから」

伊藤直樹さん「文化は批評がないと衰退してしまう。熱海広告祭には、そういう場所になって欲しい。我々のやることを、良いも悪いも批評してほしい」

菅野薫さん「時代が時代だし、フィルムやグラフィックに拘る必要性はない。人々がブランドを信じる理由だったり、人の心に風穴をあけるものは何かを、手段に囚われずに考えている」

 

世の中の人が見たい・よろこぶ・有益なものを生みだし、新しい風を吹かせることが広告屋の役割で存在意義だと僕は思っている。人に承認欲求があるように、企業にも承認欲求があり、承認されるためには世の中の役に立ち、気分を上向きにする必要がある。

 

有名は、有利かもしれないが、ときに足枷にもなることもあるだろう。

無名でもできること(無名にしかできないこと?)を見つけて、考えて、つくるしかないか。つくるしかないか。こたえは風の中~♪

 


kanban.jpg

※コロラド州には「NO NAME」というエリアがあるんだって

Posted: 2014年9月16日 10:00